TAVI
経カテーテル的大動脈弁植え込み術

 
 
 

最新治療TAVI

大阪ろうさい病院では2017年12月より各専門分野のスペシャリストで「ハートチーム」を結成し、重症大動脈弁狭窄症の最新治療TAVI(タビ)を開始しました。現在3名の指導医が在籍しております。
これまで100例以上のTAVIを施行し、術中死亡は0例、開胸手術への移行も0例と大変良好な成績を維持しています。 (2020年5月現在)

また、当院は外科的手術後の人工弁(生体弁)機能不全に
対するTAVI (TAV-in-SAV)の認定施設でもありますので、
幅広い方を対象にTAVIを行うことができます。

TAVIとは?

TAVIとは日本語で、
経カテーテル的大動脈弁植え込み術のことです。

TAVI(経カテーテル的大動脈弁植え込み術)は、心臓が動いている状態でカテーテルを用いて人工弁を心臓に装着する大動脈弁狭窄症の新しい治療法です。

この治療は従来の手術に比べて体への負担が少ないため、年齢や体力、合併症などの理由で手術をあきらめていた方に対する新しい治療の選択肢となります。

人工弁とは?

痛んだ弁の代わりに取り付ける、
ステント付きの人工の弁のことです。

人工弁置換術(心臓手術)では、外科医の手で痛んだ弁を切り取り、人工弁を縫い付けます。

TAVIで使用される“ステント付き人工弁”は、人工弁の回りに金属の網(ステント)を取り付けたもので、これが足場となって目的の位置に留置されるため、心臓を切らなくても遠隔操作で人工弁を取り付ける事が可能です。

なぜTAVIがいいの?

TAVIによる治療がもたらす3つのメリット

TAVIには3つのメリットがあります。
これにより、今まで治療できなかった方にも、治療法の可能性が広がります。

体への負担が少ない

less burden on your body
TAVIは胸を全く切開しない、または大きく切開しなくて済み、また従来の弁置換術のように心臓を停止する必要がなく、人工心肺を使用しなくて済むことから、患者さんの体への負担が少ないのが特徴です。最近ではTAVIを局所麻酔で行うことも可能となっていますので、さらに負担の少ない治療が可能となっています。

入院期間が短い

less hospitalization
TAVIは、術後3−4日で退院が可能となり、術前を併せても1週間程度の入院期間で治療が完了します。退院後はすぐに元の生活に戻る事が出来ます。しかも大動脈弁機能は大幅に改善していますから、治療前には出来なかった色々な活動が可能になります。

多様な治療が可能

various kinds of treatment
TAVIはカテーテルを用いて行う治療ですが、安全に治療を行う事が出来るよう、さまざまな新しいカテーテルやアプローチ法、人工弁が次々に開発されています。また脳梗塞などの合併症を予防する新しい器具も登場予定です。このように患者さんの状態に合わせて柔軟に治療オプションを選択することが出来ます。
 
 
 
 

どんな治療?

治療には様々なアプローチがあります。

経大腿動脈アプローチ

足の付け根にある大腿動脈から管(カテーテル)を挿入します。

レントゲンを見ながら傷んだ大動脈弁の内側にステント付き人工弁を留置します。

この方法はTAVIの中でも負担が少なく基本的な手技です。血管に問題がなければ皮膚を切る必要もありません。

経心尖アプローチ

経大腿動脈アプローチや鎖骨下動脈アプローチが困難な方に有効な方法です。

左側の胸に皮膚切開を設け、心臓の尖端から管(カテーテル)を挿入し、ステント付き人工弁を留置します。

経鎖骨下動脈アプローチ

経大腿動脈アプローチが困難な方に有効な方法です。

経大腿動脈アプローチが困難な方に有効な方法です。

鎖骨の下に皮膚切開を設け、鎖骨の下を走る動脈(鎖骨下動脈)から管(カテーテル)を挿入し、ステント付き人工弁を留置します。

直接大動脈アプローチ

経大腿動脈アプローチや鎖骨下動脈アプローチが困難な方に有効な方法です。

胸の骨(胸骨)を切開し、心臓から出てすぐの太い血管(大動脈)に直接管(カテーテル)を挿入し、ステント付き人工弁を留置します。

適応例は?

TAVIは外科的手術が困難な症例に対して非常に有効です。それらの症例とは下記の通りです。

ご高齢の患者さん

過去に開胸手術(バイパス手術など)の既往のある方

胸部の放射線治療の既往のある方

肺気腫などの呼吸器疾患合併のある方

肝硬変などの肝疾患合併のある方

1年以上の予後が期待できる悪性疾患合併のある方

チーム体制は?

当院のスペシャリストチームが
患者さんに最適な治療・ケアを行います。

手術は医師だけでできるものではありません。とりわけTAVIではカテーテル操作やハイブリッド手術室など、通常の心臓手術では使わない特殊な技術や装置を用いるためその道のスペシャリストが必須です。

TAVIならではの技術を備え、留意点を理解したTAVI専属の心臓血管外科医、循環器内科医、麻酔科医、看護師、臨床工学技師、放射線技師からなる“ハートチーム”が1症例ごとに十分な検討を行い、手術や手術前後の管理に臨みます。

医療費は?

区分や保険の種類によって金額が変わります。
詳しくは下記表をご覧ください。

【70歳未満】

    • 区分
    • 通常の健康保険
    • 高額療養費現物給付制度利用の場合
    • 年収 約1,160万以上
      健保 標準報酬月額83万円以上
      国保 年間所得901万円超
    • 165万円(3割負担)
    • 約30万円
    • 年収 約770万~1,160万円
      健保 同53万~79万円
      国保 同600万~901万円
    • 165万円(3割負担)
    • 約22万円
    • 年収 約370万~770万円
      健保 同28万~50万円
      国保 同210万~600万円
    • 165万円(3割負担)
    • 約14万円
    • 年収 約370万以下
      健保 同26万以下
      国保 同210万以下
    • 165万円(3割負担)
    • 57,600円

【70歳以上】

    • 区分
    • 通常の健康保険
    • 高額療養費現物給付制度利用の場合
    • 現役並みの所得
    • 約30万円~14万円
    • 一般
    • 57,600円
    • 低所得Ⅱ
    • 24,600円
    • 低所得Ⅰ
    • 15,000円

よくある質問

患者さまからよく頂戴する質問とその回答をまとめました。

Q1.
どういった病気が治療の対象になりますか?
大動脈弁狭窄症(心臓の出口にある弁が狭くなる病気)によって、症状のある方が対象となります。また、外科的手術後の方は、人工弁(生体弁)の機能不全(狭窄症もしくは逆流症)に対しても治療を行うことができます。
Q2.
治療による痛みはありますか?
治療は麻酔をかけて行われますので、痛みを感じる事はありません。治療後にカテーテルを挿入した太ももの付け根に不快感を感じたり、経心尖アプローチの場合には傷口の痛みが残ることがあります。また、全身麻酔の場合は術後にのどに違和感をおぼえたりすることがあります。これらは数日から一週間でおさまります。
Q3.
入院期間はどれくらいでしょうか?
入院前の体調や手術後の経過にもよりますが、術後およそ4~7日です。手術の翌日には食事をとることや、歩くことができ、患者さんの状態に合わせ理学療法士がリハビリテーションを行います。なお、検査入院の期間は平均1週間程度です(状態により前後します)。
Q4.
入院費はどれくらいでしょうか?
2013年10月よりTAVIは健康保険の適用となりました。
  • 70歳以上の患者負担:57,600円(一般一部負担)
  • 70歳未満の方で健康保険使用3割負担の場合:約1,650,000円
  • 70歳未満の方で高額療養費制度使用の場合(一般所得):約140,000円

個室・食事代は別途負担になります。

Q5.
だれでもTAVIは受けることができますか?
TAVIが開始されてからまだ10年程度しか経っておらず、それ以上の長期成績がまだ明らかではありません。そのため、現在では60-70歳程度までの患者さんであれば通常、長期成績も担保されている開胸手術が標準治療となります。しかし、これまで何度か開胸手術を受けたり、手術の危険性が高い方などは、TAVIの適応が検討されます。

お問い合わせ

メディカルサポートセンター

TEL(直通):072-255-8076
FAX(専用):072-255-8203

受付時間:午前8:15~午後5:00
(土日祝日及び年末年始の休診日を除く)