がん診療について

膀胱がん

Bladder cancer

膀胱がん

膀胱がんは泌尿器がんの中では前立腺がんに次いで多いがんで、70歳代を中心とした高齢者に好発します。男女比は3:1と男性に多いがんです。喫煙が危険因子になっており4~7倍多くできるといわれています。膀胱結石や慢性炎症がある場合にもかかりやすいといわれています。慢性の刺激が膀胱粘膜に加わることで発がんを引き起こす可能性が考えられています。

症状

血尿がもっとも重要な症状です。突然血尿をきたし、自然に消失することがあります。このような場合には、安心せずにすぐ泌尿器科受診をお勧めします。
また、排尿時に痛みを感じたり、頻尿をきたす場合も注意が必要です。さらにがんが大きくなり下部尿管を閉塞すると腎臓からの尿の流れが悪くなり腎臓が腫れて腰背部痛をきたすことがあります。

診断
1.尿細胞診

尿中にがん細胞が入っていないかを顕微鏡で検査するものです。患者さんには負担の少ない検査ですが、必ずしもすべての膀胱がんを診断できるものではありません。特に、悪性度の低いがんでは陽性率が低くなります。

2.膀胱内視鏡検査

膀胱内にやわらかい胃内視鏡のようなカメラをいれて観察します。この検査は、膀胱内を直接観察するので最も確実な検査といえます。

3.CT MRI画像検査

膀胱がんは肺や肝臓、骨、リンパ節に転移することがあります。CT検査では全身への転移の有無を検査することで病期を診断して治療方針を決めることに役立ちます。MRIは膀胱がんの壁深達度(がん組織の深さ)を診断するのに重要です。

治療
手術治療
1.経尿道的膀胱腫瘍切除術

本手術が基本になります。手術は内視鏡についた電気メスで、膀胱内の腫瘍を切除します。腫瘍の根部が膀胱の筋層まで入り込んでいなければ腫瘍の完全切除は可能です。MRI画像で筋層へ入り込んでいると診断された場合も本手術を行い、さらに根治的治療に委ねることになります。

2.膀胱全摘除術+尿路変更術

膀胱摘除術は、男性では前立腺も含めて摘除するのが通常で、場合によっては尿道も摘出が必要な場合もあります。女性の場合には、尿道も含めて摘除するか、子宮や卵巣の合併切除を行う場合があります。手術方法では開腹手術、腹腔鏡下手術、ロボット支援下手術があります。ロボット支援下手術は出血が少なく輸血を必要とするリスクは低くなるメリットがあります。当院ではいずれの手術も可能です。
尿路変更術には尿管皮膚ろう、回腸導管、自然排尿型代用膀胱があります。 尿管皮膚ろう:尿管の断端をそのまま皮膚に開口させる方法で、ストーマができるのでパウチと呼ばれる尿をためる装具を皮膚に張り付ける必要があります。
回腸導管:小腸(回腸)の一部を人工膀胱として使う方法です。20㎝くらいの回腸が人工膀胱になりそこに尿管をつなぐ方法です。ストーマができるのでパウチと呼ばれる尿をためる装具を皮膚に張り付ける必要があります。最も多く行われている方法です。
自然排尿型代用膀胱:小腸(回腸)を60-80㎝利用して人工膀胱を作り、尿道に吻合して行う方法です。ストーマはなく尿道から排尿できるのが特徴です。しかし、本来の尿意がないため時間を決めて排尿したり場合によってはカテーテルで導尿が必要なことがあります。

膀胱内注入療法

表在性膀胱がんは再発率が高いため、予防のために経尿道的膀胱腫瘍摘除術後に膀胱内に薬剤を注入することがあります。また上皮内癌(CIS)の場合には経尿道的膀胱腫瘍摘除術では完治が困難なために薬剤を膀胱内注入して治療することがあります。薬剤にはBCG(弱毒化した結核菌)と抗がん剤が使われます。特にBCGは上皮内癌の治療に有効でよく使われます。膀胱刺激症状や発熱、感染症などの副作用もあり慎重に使用しています。

化学療法

浸潤性膀胱がんの患者さんには、膀胱全摘除術の前後で抗がん剤による化学療法を行うことがあります。また転移性膀胱がん患者さんの治療としても行われます。第一選択治療はゲムシタビン+シスプラチン療法で、効果がない場合など薬剤の種類を変えて行うことがあります。最近ではシスプラチン抵抗性の進行性膀胱がんに対して免疫チェックポイント阻害薬:ペンブロリズマブ(キイトルーダ―)が使用されております。