診療科・部門

循環器内科

Cardiology

先天性心疾患

生まれつき心臓や大血管に何らかの異常をもっている状態のことを指し、出生100人に1人と比較的多い病気です。医療の進歩(幼少期の手術)により約90%の方が成人に達するようになりました。最近では未治療のまま成人となった方に対するカテーテル治療も行われはじめています。

代表的な先天性心疾患

代表的な先天性心疾患

先天性心疾患の種類

・軽症〜中等症

心房中隔欠損症(ASD) 、心室中隔欠損症(VSD)、卵円孔開存、動脈管開存(PDA)など

・中等症

エプスタイン病、ファロー四徴症、総肺静脈還流異常症、部分肺静脈還流異常症、大動脈弁閉鎖不全症、大動脈縮窄症 など

・重症

大血管転位 など

重症度別の先天性心疾患の分類

重症度別の先天性心疾患の分類

成人先天性心疾患診療ガイドライン(2017 年改訂版)
Guidelines for Management of Congenital Heart Diseases in Adults(JCS 2017)より改変

心房中隔欠損症(ASD)の診断、治療

心臓は右心房、右心室、左心房、左心室と4つの部屋から構成されます。心房中隔欠損症(ASD)では右心房と左心房の間にある心房中隔に欠損孔(あな)を認めています。血流が左心房から右心房に流れ込み、血流がうっ帯して心臓に徐々に負担がかかります。小児期では無症候であることが多いですが、病状が進行すると不整脈(心房細動)や心拡大をきたして、うっ血性心不全に至ることがあります。さらに進行すると、右心房から酸素が取り込まれていない静脈血が左心房に流れ込み、全身に低酸素をきたすチアノーゼをきたし(アイゼンメインジャー化)、重篤な状態にいたることがあります。

診断

・聴診(心雑音)

・心電図検査

・胸部X線写真

・心臓超音波検査(経胸壁 / 経食道))

・心臓カテーテル検査

・心臓CT / MRI検査

・核医学検査

先天性心疾患のスクリーニングには心臓超音波検査が重要となります。また、健診での心雑音や心電図異常がきっかけとなり発見されることがあります。病状の把握や手術適応の決定のために心臓カテーテル検査やCT、核医学検査を施行致します。

治療

手術適応のある先天性心疾患では外科的治療が必要です。心房中隔欠損症(ASD)に対しては当院心臓血管外科で外科的閉鎖術を施行しており、最新の治療である経皮的デバイスによる閉鎖術ではカテーテルを用いて欠損孔に対してデバイスを植え込みすることができます。認可施設である大阪大学附属病院へ紹介を行なっています。

心房中隔欠損症(ASD)の治療1

図1. 経食道心臓超音波検査で心房中隔欠損症(44mm)を観察しています(A)3Dエコーを用いて欠損孔を立体的に画像構築しています(B)
J Fraisse A, et al. Thorac Dis. 2018;10:S2874-S2881より改変

心房中隔欠損症(ASD)の治療2

図2 . 経食道心臓超音波検査で観察された心房中隔欠損症(21mm)(A)に対して経皮的デバイスで治療をおこなっています(B, C)
J Fraisse A, et al. Thorac Dis. 2018;10:S2874-S2881より引用