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外科・消化器外科

Surgery

食道がん

■食道がんとは

食道は、喉と胃とをつなぐ長さ約30cmの管状の臓器で、「食道がん」はその内側にある粘膜の上皮から発生します。 食道がんの罹患率は人口の高齢化とともに増加しています。年齢別にみると40歳代後半以降に増加し始める傾向にあり、女性よりも男性で約2倍多くなっています。
発生の危険因子としては、扁平上皮がんでは喫煙と飲酒が相乗的に作用してリスクが高くなることが指摘されています。また飲食物がリスクを上昇させるという研究結果も多く報告されています。腺がんでは肥満や逆流性食道炎でリスクが高くなるとされています。
日本では、食道がんの90%以上が扁平上皮がんですが、欧米では、腺がんが増加しており、その殆どは胃の近くの食道下部に発生します。日本でも生活習慣などの欧米化により、今後は腺がんの増加が予想されます。
症状としては初期症状がなく、検診や人間ドックのときに発見されることが20%近くありますが、食べ物を飲み込んだときに胸の奥が痛む、熱いものを飲み込んだときにしみる、食道で食べ物がつかえる、体重が減少する、胸や背中が痛む、むせるような咳や血痰がでる、声がかすれるなどがあります。

■診断と治療

上部消化管造影検査、上部消化管内視鏡検査、CT検査、PET-CT検査などで食道がんの進行度(ステージ)が決定し、進行度に基づいた治療方法が決められます。
食道がんの病期とガイドラインで推奨される治療法の関係を図に示します。
治療には大きく分けて内視鏡治療、手術治療、放射線治療、化学療法の4つがあり、患者さんの希望や年齢、合併症、病気の特性などを考慮しながら、治療法を決定します。

食道がん治療のアルゴリズム

1) 内視鏡治療

内視鏡的粘膜切除術(EMR)は、内視鏡でみながら、食道の内側から「粘膜内のがん」を切り取る方法で0期とⅠ期の一部が対症となります。内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)は、病変の下層部に薬剤を注入しながら病変を電気メスで徐々にはぎ取る方法です。 いずれも切除した組織の病理検査の結果、とりきれなかった部分があったり、リンパ節転移の可能性が高いと判断された場合は、追加手術や放射線治療、化学放射線療法が必要になります。内視鏡治療では、出血、穿孔、狭窄などの合併症がおこることがあります。

2)放射線治療

高エネルギーのX線でがん細胞を殺し、「がん」を小さくする効果があります。放射線治療には治癒を目指す治療(根治照射)と、痛みや出血などの症状を抑えたり、食べ物の通り道を確保しようとする治療(緩和医療)があります。

放射線治療

3) 手術(外科治療)

食道がんでは、手術が最も一般的な治療で、病巣とともにリンパ節を含む周囲の組織を切除します(リンパ節郭清)。
食道を切除した後には、食事がとることができるように胃や腸などを用いて再建します。がんの発生する食道の部位によって選択される手術術式が異なりますが、胸部食道癌の手術では、頸部・胸部・腹部の3領域のリンパ節を郭清することがあり、侵襲が大きく体に負担の大きな手術となります。近年では、胸腔鏡や腹腔鏡を用いた傷の小さい手術をできるだけ導入しています。

4) 化学療法

数種類の抗がん剤を併用しますが、化学療法単独で根治できる可能性は低く、現時点では外科手術の補助療法か、あるいは外科治療の適応とはならない進行例に対する姑息治療という位置づけで行われています。

5) 化学法放射線治療

放射線治療単独よりも化学療法と併用して行った方がより効果が高いことがわかっており、放射線照射を30回行いながら、化学療法を同時に投与する方法を化学放射線療法といいます。
治療を目指す(根治治療)と症状を緩和する(緩和医療)があります。治癒を目指すのは、病変がすべて放射線を当てる部分に入る場合で、周囲の臓器への浸潤があり切除ができない人、手術を望まない人、高齢や合併症などで手術の危険性が高い人などが対象となります。手術治療とほぼ同等の効果が得られたという報告もあり、化学放射線療法を選択することにより、生活の質(QOL)の向上が期待されます。

6)

“がん”によって食道が狭くなったために食事が通りにくくなった場合には、金属の網でできた筒状のステントを食道の中に入れたりして、食べ物が通るようにすることがあります。
またお腹から直接胃に栄養物を入れるための管(胃ろう)を入れたり、点滴で栄養管理をすることもあります。