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泌尿器科

Urology

前立腺肥大症
前立腺とは

前立腺は、男性の膀胱頸部から外尿道括約筋の間で尿道を取り巻くように存在する臓器です。通常の大きさは15-20cc(クルミ大)で前立腺液を分泌します。

前立腺とは

前立腺肥大症とは

前立腺肥大症は良性前立腺腫大に尿道閉塞、下部尿路症状が絡み合った複合的な臨床像です。前立腺肥大症は、前立腺の病気のなかでもっとも多くみられる病気です。
この良性前立腺腫大は内腺(尿道を取り囲む部分:移行領域)に発生することが多く、尿道が圧迫され、症状が出現します。

症状

前立腺肥大症では、排尿症状(排尿困難をはじめとする、尿を出すことに関連した症状)、蓄尿症状(尿を貯めることに関連した症状)、排尿後症状(排尿した後に出現する症状)がみられます。

蓄尿症状

前立腺肥大症では、多くの場合頻尿がみられます。頻尿については、「昼間頻尿」、「夜間頻尿」に分けられ、「昼間頻尿」は昼間(朝起きてから就寝まで)に概ね8回より多い場合、「夜間頻尿」は就寝後1回以上排尿のために起きる場合が目安になります。その他にも、急に我慢できないような強い尿意が起こる「尿意切迫感」がみられることもあります。

排尿後症状

「残尿感」は、排尿後に「どうもすっきりしない」、「尿が残っているような感じがする」といった症状のことであり、「排尿後尿滴下」は、尿が終わったと思ってからも、尿がたれてしまうことであり、それにより下着が汚れてしまうこともあります。
これらの排尿に関連する症状があらわれるようになると日常生活に支障をきたすこともあるため、適切な治療が必要になります。しかし、なかには前立腺腫大があっても症状がみられない人もいます。

検査
質問票

前立腺肥大症の質問票には、国際前立腺症状スコア(IPSS)とQOLスコアがあります。
国際前立腺症状スコア(IPSS)は世界共通で用いられており、7つの症状について、その頻度毎に点数がつけられており、患者さんが自分にあてはまるところに〇をつけることにより、症状の程度をスコアで評価することができます。合計0~35点で、7点以下を軽症、8~19点を中等症、20点以上を重症として、前立腺肥大症の重症度を調べます。
さらに、付随するQOLスコア質問票で、前立腺肥大症の症状がどれくらい支障となっているかを評価することもできます。合計0~6点で、0, 1点を軽症、2, 3, 4点を中等症、5, 6点を重症になります。

質問票

※前立腺肥大症診療ガイドライン 2011年

直腸診

肛門から直腸に指を入れ、前立腺に触れることで、前立腺の形や硬さ、痛みの有無を調べます。前立腺に炎症があると強い痛みがあり、また前立腺癌があると硬い腫瘤を触れることがありますので、前立腺肥大症以外の疾患をチェックするのに重要な検査です。しかし、超音波検査、MRIで代用することも多いので、必ず直腸診をするわけではありません。

尿検査

尿の濁りや血尿の有無、尿路感染症の有無などを、肉眼的検査、および顕微鏡的検査などで検査します。

尿流測定

トイレ型の検査機器に排尿すると、尿の出方がグラフで示され、尿の勢い(1秒間にどれくらいの尿が排出されるか)、排尿量、排尿時間などが自動的に数値化されて表示されます。簡便に排尿障害の有無や程度をスクリーニングすることができます。

血清PSA(前立腺特異抗原)測定

PSAは前立腺から分泌される特異なタンパクで、血液検査により血液中のPSA濃度を測定することができます。PSAは前立腺癌のスクリーニング検査として有用で、正常値は4ng/dL以下ですが、前立腺癌があると正常値を超えて上昇します。4~10ng/dLの上昇はグレーゾーンと言われ、前立腺癌以外に、前立腺肥大症や前立腺炎でもみられることがあります。

以下の検査は必要性に応じて、検討します。

逆行性尿道造影

前立腺部尿道の圧迫や延長、膀胱底の挙上の程度がみられます。比較的侵襲のある検査で、必ずしも必要な検査とは言えません。

膀胱内視鏡

比較的に侵襲のある検査ですが、前立腺部尿道の閉塞状態を直接観察できます。また、膀胱内部を観察することで肉柱形成や膀胱憩室、膀胱結石といった合併症の有無もみることができます。

膀胱機能検査

尿流量測定と同時に膀胱内圧測定をすることで排尿障害の原因が前立腺部尿道の閉塞に起因するものか膀胱排尿筋の収縮力低下によるものかを鑑別します。

治療
薬物療法

前立腺肥大症の薬物療法で用いる薬には、前立腺や膀胱の一部の筋肉を緩めて尿の通りをよくする交感神経α1受容体拮抗薬や、タダラフィルというホスホジエステラーゼ5阻害薬があります。その他にも、前立腺を縮小させる目的で男性ホルモンの働きを抑える5α還元酵素阻害薬を使用することもあります。

手術療法

薬物療法は軽度~中等度の前立腺肥大症の治療には有効であることも多いのですが、薬物療法が有効でない重度の場合は、手術療法を検討します。
100mLを超えるような巨大な前立腺肥大の場合には、開腹手術を行うこともありますが、通常は、経尿道的手術(尿道から内視鏡を挿入して行う手術)が行われ、当院では主に経尿道的前立腺切除術とホルミウムレーザー前立腺核出術を行います。

経尿道的前立腺切除術(TUR-P: Transurethral Resection of Prostate)

尿道から内視鏡を挿入し、内視鏡の先端に装着した切除ループに電流を流し、肥大した前立腺を尿道側から切除する手術方法です。かんなで木を削るように、少しずつ切除していき、最終的には肥大した前立腺の内腺が完全にくり抜いたような状態となります。前立腺肥大症に対する最も標準的で、広く行われている方法です。

ホルミウムレーザー前立腺核出術(HoLEP: Holmiumu Laser Enucleation of Prostate)

尿道から内視鏡を挿入し、レーザーを照射しながら、前立腺の内腺と外腺の境界にレーザーを当てて血管を焼きながら内腺をくり抜きます。そのため従来の手術に比べ出血量が少なく、かつ内腺の削り残しが少ないため再発が少ないのが特徴です。くり抜いた内腺は、膀胱の中で細かく砕いて、吸引して取り出します。

HoLEPとTURPの違い

HoLEPとTURPの違い

HoLEPの方法

HoLEPの方法

実績

当院では年間、約60~70件の前立腺肥大症の手術を行っています。手術実績は以下の通りです。

  2014年 2015年 2016年 2017年 2018年
TURP 43 35 23 36 45
HoLEP 24 27 24 25 24